Meet the NGF with 熊谷俊之
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さて、いよいよNGFまで1週間を切りました!今回は熊谷俊之さんのインタビューです。まずは熊谷さんの演奏動画をご紹介!
全ての音に無駄がない、これは本当に難しい事なんです。そしてこの丸みのある音がなんと言っても熊谷さんの魅力ですね。いくつもの壁を乗り越えてきた彼だからこそ出せるその音は聴けば聴くほどクセになります。
もっと知りたい、そんなアナタにはこちらもオススメ。これはフランスのアントニー国際ギターコンクールでの演奏です。
それではインタビュー開始
生田(以降P):今回の夜公演に出演する熊谷さんは実は僕と同い年。そして同じ高田元太郎先生に習っていました。しかし門下の中でも熊谷さんはすでにキャリアをスタートしていたし、何より実力も全然段違いで、いつもギターのことやギタリストの仕事の事を色々教えてもらっていました。同級生らしく友人でもあり、先輩でもあるという不思議な関係ですね(笑)。さて、いきなりですけどギター始めたきっかけは?
ある日突然ギターを弾きたいと思った
熊谷(以降K):ギターは小学校4年生の時に始めたんだけど、その時の担任の先生が学校一有名な怖い先生で、当時はまだ若干叩いたりしてた時期で、クラス全員並ばされて1人づつビンタされるとかもあってそういう先生だったんだよね。っていうかそういう先生いたよね?
P:いきなり重い(笑)。今だと大問題ですけどまあ我々の世代はまだギリギリそういうことがありましたね。ゲンコツ教師とかいましたよ(笑)。
K:その先生が「みんな特技は一個ないとダメだ!必ずクラブ活動か習い事一個はやってないと許さんぞ!」みたいな事を厳しく言う先生で、その時に「なんかやらないとまずいな」と思って心の中では何かをやらなきゃなっていう想いが生まれてそこでギターが浮かんできた。それからある朝のこと。起きたら「俺ギター弾きたい」って突然思ったのがきっかけ。神の思し召しがあったんだよ、きっと(笑)。
P:半分くらいその先生のおかげじゃないですか(笑)。いきなり始めるにあたって気になったんですが家にギターはあったんですか?あとクラシックとかの音楽には触れてたんですか?
K:家にフォークギターはあったんだけど、多分兄とか母の影響でなぜか禁じられた遊びとかは知ってたかな。当時は姉もピアノを習ってたから家にピアノはあったし、ピアノ音楽は生まれた頃から姉が練習するのをよく聴いてたよ。だからピアノの音はある意味耳に入ってこないから横でグランドピアノとか弾かれてても多分1時間平気で自分の事できる(笑)もちろんピアノの音は大好きだけど、そういう環境にいたからピアノの音だけは耳を素通りしていくような感じ。
P:そこからじゃあギターを習いに行って、と言う感じに?
エレキをやりたくて辿り着いた先は?
K:そうだね、エレキギターとかしか知らなかったからエレキギターやりたくて。でも習いに行った先生がクラシックギターだったからクラシックギターをやってたような感じ。小学校5年生では安いエレキを買ってもらって中学生の頃はバンドもやってたかな。クラシックギターのレッスンを受けながら家に帰ったらコード表とか見てタブ譜とか見ながらエレキとかフォークギターを弾いてたね。体験レッスンの時に左足を上げるのを知らなくて、いきなり足を上げさせられてすっごい恥ずかしかったの覚えてる(笑)。それが今では左足上げないとカッコつかないんじゃないかと思うよね。
P:エレキとかやってるとあの足台は何かちょっと「おお…」と思うよね。違和感というか。興味深い始まりのエピソードですね。エレキやりたくてギター教室へ通って、気づいたらクラシックギターどんどんハマっていくという感じでしょうか。
音大へ行くという選択
K:そうそう、バンドもやってたし、クラシックギターのコンクールも出てた。そしてちょうど自分が高校生くらいの頃に日本の音楽大学にもギター科が増えてきて、その情報を知って昭和音楽大学のギター科に1期生として入学したんだよね。もちろん当時「音楽の道は厳しいぞ」とか周りも言われてたけど自分もまだ若いからそういった心配する声とかアドバイスには中々聞く耳が持てなくてね。自分の意思を持って「やるぞ!」みたいな感じで大学へ通い始めた。でもいざ入ってみたらプロになろうとかどうやったら音楽に携われるかとか将来の事を考え始めて凄く不安になったのを良く覚えてる。大学1年の夏には悩み過ぎて大学辞めようかとか思った(苦笑)
P:僕なんか大学1年生の時に将来の不安とか全く考えてなかったですし、ただのパリピでした(笑)。そこはやはり熊谷さんらしいですね。
K:逆に音大という特殊な環境下だからこそ、将来の事をかなり早い段階で意識できるようになったかもしれないね。自分は音大に行った事によってなんとなくプロになろうって考えるんじゃなくて、もっとギタリストという職業に対して具体的なイメージができたかな。
P:それから大学卒業して熊さんはもうレッスンしたり、東京国際ギターコンクールを受けている時に僕らは出会いましたね。我々は23歳くらいの時に海外の別々の講習会に行ったりして留学をしましたよね。熊さんはスペインの講習会に行って留学決めたんでしたっけ?
ヨーロッパで名手アルヴァロ・ピエッリと出会う
K:そうそう、スペインのマドリッドに1ヶ月滞在してコンクールやら講習会に参加してた。その時にウルグアイの名ギタリスト、アルヴァロ・ピエッリに出会った。勿論アルヴァロの話は色々聞いてたけど実際演奏を生で聴いて「この綺麗な音は本当にギターの音なのか?」という衝撃を受けた。それまでは自分で練習してても演奏会に行っても時々、「ギターって難しいよね、こういう汚い音出ちゃう時もあるよね。ギターの音は歯痒い音だな」という違和感が常にあったんだけどアルヴァロの演奏にはそういう印象が一切無かったんだ。それから彼の教えているウィーン国立音大に行くことを決めた。それとヨーロッパには驚くほど上手い人も沢山居たというのも刺激になったかな。
今回のNGFでの選曲について
P:今回の選曲についてのコンセプトはありますか?
K:今回はブローウェルをまずは弾きたいなと思ってる。ブローウェルはギタリストとして活動していたけど途中で指を壊したのもあって作曲家として活動している。彼の音楽はギタリスティックに見せつけるわけではなくて、作品に自然とギターが馴染むような印象がある。ギターを極限まで極めようとした人しかしか書けないような作品だからその良さを出せたらいいな。あとはアルゼンチンのギタリスト兼作曲家のアリエル・アッセルボーンの新曲はNGFで初演になるから…(続く)
続きはNGF当日で!
あと1週間となり、プログラムも完成し、準備で追われていますが生田Pも当日が待ち遠しいです。相変わらず新型コロナウイルスは猛威を奮っておりますが、皆様に安心してご来場いただけるように感染拡大防止に最大限努め、開催いたします。
熊谷さんの演奏は他にもこちらで沢山聞く事ができますので是非!