[動画あり]第2回名古屋国際ギターコンクール一般部門レポート&入賞者インタビュー!!
生田P:どうも、こんにちは!8月末に行われた名古屋国際ギターコンクール、今回はその中から一般部門の様子を動画でご紹介!一般部門は「年齢を問わず、コンサート活動ができる魅力あるギタリストの発掘と機会の提供」を目的としています。そのため課題曲が複数あり、1ヶ月前に抽選により決定されます。自由曲は10分以内でそれぞれの個性を発揮してもらいます。毎年一般部門では熱い戦いが繰り広げられるのですが今回の結果は以下のようになりました。
第1位 高田英里佳
第2位 宮川春菜
第3位 岩月美玲
採点表はこちら
この名古屋国際ギターコンクールでは一般部門は審査員の点数を全て公表しています。ジュニア部門、愛好家部門においても参加者の方には採点表をお送りしております。
それでは今回は一般部門で入賞した3名のインタビューと当日のコンクールでの演奏動画をご紹介!インタビュアーは話を引き出すことについて天賦の才を持つおなじみのゆきマネが担当してくれました。
まずは優勝した高田英里佳さんの演奏とインタビュー!
自由曲 Motivos de Son no.1 , La Gran Sarabanda(L.ブローウェル)
課題曲 5つのバガテルより 「Alla Cubana, Con slancio」 (W.ウォルトン)
ゆきマネ
こんにちは!よろしくお願いします!早速ですが出身と年齢を教えてください。
高田英里佳さん(以降高田):こんにちは!出身は里帰り出産をしたそうなので愛媛県生まれですが、すぐに東京に戻ったので東京生まれですかね?わかりません(笑) 現在も東京在住の22歳です。大学4年生です。
ーーでは最初の質問!ギター歴はどれぐらいになりますか?
高田:小4ぐらいから始めて10年以上経ちましたが、本当にギターを真剣に(?)やっていこうと思ったのはここ2年ぐらいです。20歳の時にエドゥアルド・フェルナンデスさんに会って感化され、そこからしっかりと真面目に練習をするようになりました。
ーー高田さんはお父さんがギタリストの高田元太郎さんだとお聞きしました。ということはずっとお父さんに習っているんですか?
高田:いいえ、実は父には一度も習ったことがないんです。ただこれまでに習った先生は主に父のお弟子さんでした。現在は小暮浩史先生に教えてもらっています。
ーーああ、小暮大先生ですね。私たちもよく知ってる(笑)。確かに親子だと色々と難しいですよね。思春期とか反抗期とかもありますしね(苦笑)。ではコンクールに出始めたのはいつ頃ですか?
高田:2019年に行われたスペイン音楽国際コンクールのギター部門が初めてなので本当にまだまだ最近です。そこで主席(1位なしの2位)をいただいて、あとは今年に入ってからバッハ国際ギターコンクールで第1位、GLC学生ギターコンクールで大学生の部第1位とGLC賞(全部門グランプリ)を頂きました。
ーーコンクールにいきなり参加し始めて次々に結果を残せるのは流石ですね。それでは次の質問!好きな曲はありますか?
高田:アストル・ピアソラのブエノスアイレスの夏です。まだ私が小さな頃に父が弾いていたのを聴いていた記憶が朧げにあります。この曲が自分でも好きでよく弾いています。そういえば動画も作りました!!
ーーおおー!凄く面白いコンセプトですね。音楽と映像がマッチしていますね。ちなみに今回名古屋国際ギターコンクール(以下NIGC)をどこで知りましたか?参加しようと思ったきっかけも教えてください。
高田:第1回のNIGCが始まった時に、習っているアルトフィールド音楽教室でいろんな人が噂をしていて知りました。「生田さんがコンクールを始めたらしいよ」という感じでしたね。ただ前回はまだ真剣に練習を始めて日も浅かったので応募する事はなく、今回の出場となったわけです。父が「面白そうだし、出てみたら?」と言ったのも1つの影響ですね。あと審査員の皆さんが演奏家というのも大きな魅力でした。コンクールに出たらコメントをもらえるし、コンクールだけど同時にマスタークラスを受けてるようなお得感がありますよね。実際頂いたコメントにはためになるアドバイスがたくさん書かれていました。
ーー今回の講評用紙はこちらでしたね。
ーー私コンクール観戦だけですが、全ての審査員がこの用紙に手書きでしっかりと書いてくれるのがいいですよね。(オンライン審査員の方は自筆で書いてもらってそれをスキャンして印刷して全参加者にお渡ししました。)そして課題曲が1ヶ月前に決まるのも独特ですよね、課題曲が決まった時の気持ちはいかがでしたか?
高田:「マジか!!!」ですよ(笑)。他の2曲は楽譜をもらっていて取り組んでいました。バガデルは課題曲の中でもとりわけ難しいし、流石にこれは来ないだろうと思っていたので少し焦りました。課題曲の難易度が他に類を見ない難しさで苦労しました。
ーー生田Pは引いてしまうのですよね、その3分の1を…。では次の質問!表現に対する考えを教えてください。また、普段気をつけている事はありますか?
高田:皆さんの心に届く演奏を意識しています。温かい音質が好きなのでそこに気をつけています。あとまだまだコンクールも挑戦し始めたばかりで緊張しいなので、いずれはもっと気負わずに演奏できるようになりたいです。
ーーやはりそういった心がけが大切なんですね。今回の演奏も音がとても柔らかくて聴きやすかったです。今取り組んでいる曲、または目標はありますか?
高田:コンサートを控えているので何曲も同時に練習していますね。今回のウォルトンの5つのバガテルは全部取り組んで来年の副賞のコンサートで演奏できるようにしたいなと思っています。今年の分のコンクールはひとまず終わったので、来年は海外のコンクールにも挑戦していきたいと思います。
ーーこれからギター以外でやってみたい事はありますか?
高田:スペイン語を大学で学んでいたので、スペイン語圏の国を旅行してみたいです。
ーースペイン語!すごいですね。そういえば先日グレアムとオンラインでマスタークラスをしていた時も最初スペイン語でしたね。ギター抱えて南米旅行なんかも面白そうですね。これからが楽しみです。そんな高田さんの直近のコンサートはこちらです!皆様是非!高田英里佳さんには副賞として2022年度に3回のコンサートを予定しておりますのでそちらもお楽しみに!
続いて第2位の宮川春菜さんの演奏動画とインタビュー!
課題曲 5つのバガテルより 「Alla Cubana, Con slancio」 (W.ウォルトン)
自由曲 Vivo ed energico(M.C=テデスコ) Sevilla(I.アルベニス)
ーー宮川さん、コンクールお疲れさまでした。今日は質問させてください。よろしくお願いします。早速ですが出身と年齢を教えてください。
宮川春菜さん(以降宮川):19歳で現在は奈良県在住です。生まれは徳島県で2、3歳ぐらいまで住んでいました。
ーー四国!いいですね。そういえば徳島県といえば審査員を務めた徳永さんも同じですね。先程の高田さんも生まれは愛媛ですし、四国にはギターが上手くなる秘密があるかもしれませんね(適当)!ギターはいつ頃から始めましたか?
宮川:8歳から始めました。それからずっと牧瀬豊先生に教えていただいています。子どもの頃はできていない事を割と厳しく指導してくれる先生でした。今は意見を出し合いながら音楽を作り上げていくような指導をしてもらっています。
ーー1人の先生から学び続けているんですね。先生も弟子が育っていくのを見てとても嬉しいでしょうね。ではギタリストで憧れる人は誰かいますか?
宮川:山下和仁さんですね。演奏の解釈、迫力、スピードに圧倒されます。エネルギッシュな演奏がとても魅力的で憧れの演奏家です。
ーー私はまだ動画でしか見たことないんですがまず存在感が凄いですよね。(確か生田Pは空翔ぶギタリストとか言ってたような気がするな・・・)ところで好きな曲はなんですか?
宮川:バッハのシャコンヌですね。やはり壮大な世界観を感じる名曲だと思います。
ーー名曲ですね!!素人の私でも知ってます(笑)いつか宮川さんのシャコンヌも聞いてみたいですね。ところで名古屋国際ギターコンクール(以下NIGC)をどこで知りましたか?参加しようと思ったきっかけも教えてください。
宮川:2019年の福山日陽さんのNIGC優勝をSNSで知ったのがきっかけです。その後、このコンクールのHPを検索してみて画期的な審査方法とその趣旨に共感しました。
ーーSNSで見てくださったんですね、嬉しいです。ではNIGCの一般部門の課題曲が決まった時の気持ちはどうでしたか?
宮川:一番難しいのが来たな、、と思いました(苦笑)。ただ難曲に取り組むことで色々な自分の中の課題も見つかり、次に繋げることができてとてもありがたかったです。
ーー確か第1回の時も最高難易度の曲を引き当てた記憶です。生田Pの引きの強さには毎年驚かされますね。課題曲が難しいというのは他の参加者も皆同意していて、審査員の皆さんも「これはキツくないか?」と話していました。生田Pにはクレームを入れておきます(笑)
それでは次の質問です。ギターのコンクールに参加し始めたのはいつですか?
宮川:小学校4年生の時ですね。日本ギターコンクールが最初のコンクールだったと思います。それからは山陰ギターコンクールや名古屋ギターコンクールなど色々なコンクールに参加しています。
ーー演奏をする時に心掛けている事は何かありますか?
宮川:コンサートでもコンクールでも純粋に「良い演奏がしたい」というのがまずあります。コンクールでは求められている事を大切にして1つ1つの舞台で目一杯自分自身を表現できるようにしています。コンサートでは世の中の情勢やコンサートに来てくださった方々がどんな気持ちで聞いてくださるのかを考えて曲に取り組み、演奏する事を大切にしています。
ーー素晴らしい心がけですね。まだお若いのにプロフェッショナルな心意気が良いですね。では今後の目標はありますか?
宮川:一番近いところでは、名古屋ギターコンクールですね。コンサートはまず大阪で11月にあります!
宮川:あとこちらのオンラインコンサートもあります!
配信日:2021年11月24日19:00〜27日23:59
チケット販売締め切り 11月24日17:00まで
イープラス・ストリーミング+
チケットリンク https://eplus.jp/sf/detail/3499790001-P0030001
ーーオンラインコンサートはどこからでも見られますね。ちなみにギター以外でやりたいことはありますか?
宮川:コロナ禍でなかなか行けていませんがキャンプが大好きで海とか川に行きたいなと思っています!もともと自然は大好きなので。
ーーいいですね!アウトドア派なんですね。ではペットは飼っていますか?
宮川:ウサギと亀を飼っています!
ーー珍しい!可愛いですよね。あと留学をしようと思ったことや海外に挑戦したいと思ったことはありますか?
宮川:留学はコロナ禍であることや、日本での演奏活動の機会を頂けることが多くなり、また事務所所属のお話が進行中ということもあり、選択しませんでした。海外のコンクールは今の私の言語能力では申し込みや現地での会話はとても苦労するとは思いますが、受けたいと思っています。これから色々なことに挑戦していけたらいいなと思います。
ーー最後に色々と唐突な質問すみません。海外に挑戦する際は生田Pに申し込み用紙を翻訳してもらいましょう(笑)宮川さんもまだとても若いのでこれからのご活躍を楽しみにしています!
そして第3位の岩月美玲さんの演奏動画とインタビュー!
課題曲 5つのバガテルより 「Alla Cubana, Con slancio」 (W.ウォルトン)
自由曲 椿姫の主題による幻想曲(F.タレガ)
ーー岩月さんこんにちは!まず出身と年齢を教えてください。
岩月美玲さん(以降岩月):名古屋市出身で13歳、中学2年生です。
ーー若い!ギターはいつ頃から始めましたか?
岩月:小学1年生から初めました。
ーーギタリストで憧れる人は誰かいますか?
岩月:マリア・エステル・グスマンさんです。
ーー好きな曲はなんですか?そしてその理由を教えてください。
岩月:メルツのエレジーです。哀愁があって好きです。ジュリアーニの英雄ソナタもカッコいいから好きです。ギターの曲以外では、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番もワクワクして好きです。
ーー本格的でいいですね!ちなみに名古屋国際ギターコンクール(NIGC)をどこで知りましたか?参加しようと思ったきっかけも教えてください。
岩月:父が教えてくれました。会場が同じく名古屋市内で近かったのもあり、参加してみようと思いました。
ーーNIGCの一般部門の課題曲がバガテルに決まった時の気持ちはどうでしたか?
岩月:難しい曲に決まったなと思いました。
ーーやっぱり(笑) 人前で演奏をする時に心掛けている事は何かありますか?
岩月:堂々と弾きたいと思っていますが、なかなか実行出来ないので、出来るように頑張って練習していきたいです。
ーー今取り組んでいる曲や今後の目標はありますか?
岩月:NIGCで弾いた曲をもっと上手く弾けるように練習しています。バリオスのワルツ第4番、トゥリーナのタレガ讃歌も、次のコンクールに向けて取り組んでいます。きれいな音で弾くことが今の目標です。そして本番で、心を込めて弾くことができるようになりたいです。
ーーありがとうございます!これからも頑張ってくださいね!応援しています。
これからのNIGC
生田:今回は一般部門について書かせていただきましたが、全部門通して皆さん真剣にこのコンクールに参加してくれているのが伝わりました。主催者として今回参加してくださった皆様、並びに応援してくださったスポンサー様(荒井貿易株式会社、フィガロ株式会社、朝倉工房)、このHPを見てくださっている皆様にも感謝を申し上げます。来年の開催に向けてまた準備を進めて参りますのでこれからもよろしくお願いします。
蛇足ですが一般部門の課題曲はもう少し簡単な方がいいかもしれないなと思う反面、このくらいはチャレンジして欲しいという思いもあるので実際に来年易化するかどうかは悩みどころではあります。実際今回も皆さん大変素晴らしい演奏と心意気を見せてくれたように思います。次回の記事では2019年の覇者、福山日陽さんのゲスト演奏と全体レポートを公開いたします。お楽しみに!